歯科診療における「オーラルフレイル」は、口腔機能のわずかな衰えを指し、全身の虚弱(フレイル)につながる初期段階と考えられています。この概念を軸に、「小児口腔機能発達不全症」と「口腔機能低下症」を説明します。
オーラルフレイルとは
オーラルフレイルは、健康な状態と、病気として診断される状態(口腔機能低下症)の中間にある、可逆的な状態です。具体的には、滑舌が悪くなる、食べこぼしが増える、食べ物をうまく噛めない、口が乾燥するなどの、自覚しにくい些細な口腔機能の衰えを指します。
この状態を放置すると、食生活の変化やコミュニケーションの減少を招き、全身の筋力低下や認知機能の低下といった、いわゆる「フレイル」へと進行するリスクが高まると考えられています。
1. 小児口腔機能発達不全症とオーラルフレイル
小児口腔機能発達不全症は、オーラルフレイルの概念を18歳未満の小児に当てはめたものです。
* 「機能の衰え」 ではなく、「機能の発達不全」 がキーワードです。
* 本来獲得すべき口腔機能(食べる、話す、呼吸するなど)が、障害などがないにもかかわらず、十分に発達していない状態を指します。
* 原因としては、柔らかい食べ物中心の食生活や、指しゃぶりなどの癖、口呼吸などが挙げられます。
* この状態を放置すると、顎の発育不全や歯並びの悪化だけでなく、将来的な**「オーラルフレイル」**や、ひいては全身の健康問題につながるリスクが高まるとされています。
* つまり、小児口腔機能発達不全症は、将来のオーラルフレイルを未然に防ぐための重要な段階と位置づけられています。
2. 口腔機能低下症とオーラルフレイル
口腔機能低下症は、オーラルフレイルがさらに進行し、病気として診断される状態です。主に成人や高齢者が対象となります。
* オーラルフレイルの初期段階である「些細な衰え」が進行し、より明確な「機能低下」として現れたものです。
* 具体的には、歯科医院で検査を行い、口腔内の清潔さ、口腔乾燥、噛む力、舌の力、咀嚼能力、嚥下機能などの7つの項目うち、3つ以上に該当する場合に診断されます。
* この状態を放置すると、栄養状態の悪化や、誤嚥性肺炎のリスク上昇、さらには全身のフレイルや要介護状態につながる可能性が高まります。
* したがって、口腔機能低下症は、オーラルフレイルの進行した状態であり、歯科医療機関での積極的な管理やリハビリテーションが必要な段階と位置づけられています。
まとめ
* オーラルフレイル: 口腔機能のわずかな衰え(健康と病気の中間)
* 小児口腔機能発達不全症: 将来のオーラルフレイルを未然に防ぐため、小児期に本来獲得すべき口腔機能が十分に発達していない状態
* 口腔機能低下症: オーラルフレイルが進行し、病気として診断される状態
このように、オーラルフレイルという概念は、生涯にわたる口腔機能の変化を捉える上で非常に重要です。小児期からの「発達不全」を予防し、成人期以降の「機能低下」を早期に発見・改善することで、全身の健康維持につなげることが、現代歯科医療の重要な役割となっています。
当院では舌圧測定や咬合力検査等を行うことができます。
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